2016年05月15日

『パナマ文書』問題の考察...

おとといの記事に書いた「タックス・ヘイブン」に関連する『パナマ文書』の件ですが、
今週見たテレビのニュースでは、有名人が釈明する姿が映像として映っていました。

楽天の三木谷CEOとソフトバンクの孫会長です...

日本人ではこの他に、テレビには出てきませんでしたが、東洋エンジニアリングの中尾清社長やセコムの創業者などがリストアップされているようですね...

しかし海外で問題になっているのは、民間企業の経営者の名前ではなく、政治家のようです。

このへん、海外と日本とで、”ずれ”が生じているようです。
ここのところが、この問題がわかりにくくなっている元凶なのかなぁ...


ところで、海外で政治家がタックス・ヘイブンを利用することがなぜ問題になっているかというと、国民に税金を納めさせる立場の人間が、納税を回避していたからですね。

これは、法の基本原理である「信義則」に反します。

「信義則」とは、法理念・法哲学に属する事柄で、だいたい各国の成文法や判例にも登場します。

日本では、民法1条2項ですね。

また、2項を含む民法1条全体が、”公正”という観念を表現した法の基本原則とも言われます。

以下、引用します...
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html#1001000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

1.私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2.権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3.権利の濫用は、これを許さない。



ちなみに私は、民法が口語化(2005年)する前の文語調の方が好きですが...

さて、この民法1条ですが、1項は、民間企業の経営者にも当てはまるかもしれません...

なぜなら、1条1項は、「私的な権利のいっさいは、公共の福祉にのっとってなければ無効または阻止されうる」と言っているからです。

租税回避が公共の福祉に反していることは、まず間違いないですから...

「タックス・ヘイブンの利用は合法的な節税の手段だ」という主張のブログが散見されますが、この民法1条の規定を御存知ないのでは...


話しを元に戻すと、タックスヘイブンを政治家が利用する行為がなぜ「信義に反すること」になるかと言うと、言ってることと、やってることが、さかさまになるからです。

片や、国家財政の再建のためには増税は避けられないとか言っておきながら、他方で、自分だけは税を回避しようとしたり...

片や、国民の代表として主権者である国民のために税を集める立場ながら、他方で、自分自身からは税を集めようとしない...

他人に対する主張ないし立場上の外観と、自身の行動との間に乖離が発生している...

これが、信義に反する、ないし、英米法系の国であれば、”禁反言の法理(エストッペル)”に抵触しているわけです。

つまり、”違法行為”ですな。
彼ら(政治家)のやっている租税回避行為は...

この理屈がわかっている人は、”法”というものを本当にわかっている人だと言ってもいい...

法というものは、成文法だけではなく、慣習法に自然法という概念がありますし、法を支える、法哲学や法理念というものもある...

だから、”成文法”上で定めが見当たらないようだというだけで、合法だということにはなりません。

要するに、今の世の中の法体系は、日本の「ご法度」の概念とは異なる、ヨーロッパ文化の産物なんですね...

日本人の一般人の法に関する観念というものは、”法律、イコール、江戸時代のご法度のようなもの”、というところでしょう...

お上の作った「ご法度」の上に書かれていなければセーフっ! ってな感じ...

でも、その認識は、実は間違ってるんですね...







posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☔| Comment(0) | 分析・考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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