2016年05月18日

『ライブドア監査人の告白』を読んで...

あの世間を揺るがしたライブドア事件から、はや、約10年...

図書館で『ライブドア監査人の告白』という本を借りて読みました。

ライブドア監査人の告白 -
ライブドア監査人の告白 -

著者は、第三代のライブドアの会計監査の責任者(インチャージ)です。

初代の小林氏、二代目の久野氏はいずれも後で有罪判決を受けています。

捜査して後日わかったことは、彼らは不正に手を貸し、また、不正を見逃していました。

この三代目の田中慎一氏はそんな前任者たちから仕事を引き継ぎ、ライブドアの経営者に厳しく接し、外部からライブドアに入った弁護士出身の監査役とも手を組んで、ライブドアを真っ当な進路へ戻そうと悪戦苦闘します...

ときには「おかしなことをすると監査人を降りますよ」と言う殺し文句を使い、変なことを止めさせようとします...

そのせいか、世の中のウサワ的にも(以下、引用)、
外部の証券会社からも「最近、ライブドアの監査法人が厳しくなった」という声が聞かれるようになった。良い方向へ向かっているという手ごたえが感じられた。

と言われるようになっていきました...

しかし時すでに遅し...

田中氏が仕事を始めた前の年の「有価証券報告書」で虚偽、つまり粉飾が見つかり、捜査当局の捜査が入り、関係者は逮捕されてしまいます。

あと1年遅かったわけですね...

罪状は、本来は経常損失3億円のところ、子会社からの架空受注15億円と自己株還流スキームによる架空利益35億円により、大幅な利益を上げたと粉飾したものです。

・・・

それにしても、最近の東芝の事件といい、会計がらみではありませんが三菱自動車の虚偽の燃費仕様といい、いつの時代でも人のウソは尽きないですね...

石川五右衛門が読んだ和歌を思い出しました。
”石川や 浜の真砂(まさご)は尽くるとも 世に盗人の種は尽くまじ”...

世にウソツキのタネは尽きまい、ってな感じでしょうか...

しかし、内情や帳簿を知っている監査人はなぜ不正を見つけてそれを正せないのでしょうか。

それは、不正会計であるという監査意見を発表しただけで、上場廃止になってしまうという事情もあるからです。

企業の経営者の財務報告に対し、監査人の側の見解としては、@適正意見,A不適正意見,B意見不表明の3つの選択肢があります。

しかし、AやBを選ぶと、その企業は、東証によって上場廃止にされてしまうのです。

なので、@を選ぶか、それとも逃げるか(「監査人をおろさせてもらいます」と言う)しかないと著者は言います。(以下、引用です)

上場会社は不適正意見や意見差控が付いたら上場廃止事由となる。


適正意見に責任が生じるように、不適正意見や意見差控にも責任が生じる。それらは文字通り、”異常事態”であって、監査人としては、ある意味において適正意見以上の責任を背負い込むことになる。


「危ない会社とは縁を切る」というのが監査人にとって最大のリスクヘッジなのだ。
そのため、実際の監査意見というのは、「適正意見」を述べるか、辞任するかの二者択一ということになる。ところが、辞任する場合にもリスクがあると考える会計士が少なくない。契約不履行でクライアントから訴えられるかもしれないというリスクだ。


監査法人や会計士も苦労しているということですね...

進むも地獄、引くも地獄...
そういう状況も、現実にはありそうです...

著書より最後に引用です...

世の中全体で見れば、企業会計に絡むスキャンダルは、取るに足りないほんの一部の出来事にしか過ぎない。


表に出てきた会計粉飾は、”氷山の一角”だと言うことですね...

ただ、あまり報道はされませんが法的にはいろいろと手は打たれていますし、監査法人や日本公認会計士協会も対策を考え、地道に少しづつ取り組んではいるようですが...

なかなか難しい問題です...







posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

にほんブログ村