2016年05月26日

『文明 西洋が覇権をとれた6つの真因』の感想(前編)

優秀な歴史家であり経済学者でもあるニーアル・ファーガソン氏の著作『文明 西洋が覇権をとれた6つの真因』を読みました。

単行本で545ページにも及ぶ大著であります。

文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因 -
文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因 -


著者はイギリス人...

かつて「七つの海を支配する大英帝国」を築いた誇りからか、”英国的なもの”に好意的です。

以下、著者自身の結論の章からの引用です。

個人の自由を至上とする西洋文明の基礎教材は何だろう。
私があげたいのは、ジェームズ国王の『欽定訳聖書』(一六一一)。アイザック・ニュートンの『自然哲学の数学的諸原理』(一六八七)、ジョン・ロックの『市民政府論』(一六八〇〜九〇)。アダム・スミスの『道徳感情論』(一七五九)と『国富論』(一七七六)、エドマンド・バークの『フランス革命の省察』(一七九〇)、チャールズ・ダーウィンの『種の起源』(一八五九)。さらに付け加えれば、ウィリアム・シェークスピアの戯曲、エイブラハム・リンカーンやウィンストン・チャーチルの名演説。もし私が座右の書として一点を選ぶとすれば、シェークスピアの全作品集だ。



とはいうものの英国以外にも目を向け、現在までの人類文明を鳥瞰的・客観的に見て、かつユニークな視点を加えて描いています。

世の中がグローバル化した現在、中高生が歴史の副読本として読むべき必携書とも言っていいほどの優れものです。

今の世の中の仕組みがどうやって出来てきたのかが把握できるからです。
もちろん、これ一冊では不足ではありますが...


さて、この本の内容ですが、
西洋文明が現在の世界のスタンダードになっている現状をふまえ、その原因分析をしながら1500年以後の世界史をたどるというもの。

その原因を6つ挙げてそれぞれに章立てしているのですが、うまく年代順にもなっているという優れものです...

そして、西洋が世界を制覇した原因は、@競争原理,A科学,B所有権,C医学,D消費社会,E労働倫理とのことです。

細かいところをはしょってまとめると、
科学技術を活かして高品質の商品を大量生産・大量消費する仕組みを作り、さらに個人の所有権と健康とを保障することによって、”豊かな消費生活を愛する一般大衆”をたくさん作りだしたこと。

これが、西欧型の生活スタイルを魅力的なものとし、アジアやアフリカの民衆をも惹きつけたこと。

その結果、西洋の社会制度が全世界に広まったのである...

こういう主張です...

いくつか引用してみましょう。

西洋の法律制度や政治モデルは、民主主義を含めて西洋以外の国の選択肢を取り換えさせることになり、あるいは従来のものを挫折させた。西洋医学は呪術医や祈祷師を脇に押しやった。


この五〇〇年間あまりにわたり、埋もれた天才を発掘して教育していくうえで、西洋文明ほど効果的に人間社会に寄与してきた文明はほかに見当たらない。



まさにその通りですね...

みんなが独裁政権を嫌うのは、一般人の自由や権利を束縛し、消費生活を楽しめないからですし、また我々は、西洋型の医療制度に対して無言の信頼を寄せています...

なお、”西洋”と言いつつ、旧EEC(英仏伊と旧西独およびベネルクス諸国)を中心とした西欧を指している感じでしょうか...

ちなみに、アメリカは西欧の分家と位置づけられています...

結論的には、細かな問題はあるにしても、個人の才能を開花させてそれを活かし、人の幸せに結びつける仕組みは、西洋文明以外に無いとの結び...

実際に世界の現実はその通りで、新興国といっても、民主主義かどうかは別にして、中央銀行や商取引・契約関連法規・簿記会計は西洋型ですし、消費を肯定し、富裕層を肯定(=所有権を肯定)し、医学を始めとした科学技術を活用・開発することを肯定しています。

そして、インターネットや通信の発達によって、今後とも、今の世の中が続いていくことは間違いなさそう...


長くなったので、続きは明日に...
(明日は、この本の中で知っておくとタメになりそうな箇所を紹介したいと思います)






posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 気づき・ヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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