2016年05月27日

『文明 西洋が覇権をとれた6つの真因』の感想(後編)

昨日からの続きです...

『文明 西洋が覇権をとれた6つの真因』の中で気になったトピックをひとつ紹介したいと思います。


問い:”中南米と北米の経済発展はなぜ異なるのか?”

この答えをひと言でいうと、アメリカやカナダなどの旧イギリス系植民地では、個人の土地所有が容易だったことが原因だそうです。

我々がイメージ的に思う、中南米はラテン系民族だから享楽的で勤勉さに欠けるとか、中南米はカトリック圏なので経済面で非合理的だから、というのは間違っているみたいです。


以下、引用です。

アメリカでは、最下層の人間でも所有権への第一歩を踏み出すチャンスがあった。これが人頭権の中核であり、人頭権はヴァージニア、メリーランド、ニュージャージー、ペンシルヴァニアの各州でもやがて導入された。

アメリカに無一文でやってきても、何年か働くと土地を所有することが出来、参政権が与えられたようですね。カナダもまた同様だったようです。

カギになったのは、社会移動の帰結だった。エイブラハム・スミスのような人間がまったく無一文で荒れ地にやってきても、何年か経てば地主になることができ、選挙民にもなれるという事実だ。

このエイブラハム・スミス氏は実在の人物で、イギリスでは貧しく、新天地を求めてアメリカにやってきた人です。
そして、最初は雇われ人として働き、一定期間後、お金を貯めると同時に、土地を支給されたようです。

北米だけが突出していたわけではないことを、強調しておかなければならない。カナダにおける地方の土地所有率はさらに高く八七パーセント、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス領アフリカの一部でも同じような数字だった。つまり、土地所有(白人による)の普及は、アメリカというよりイギリス独特の特徴だったことが確認できる。


一方の南米は...

土地が広く分配されたカロライナのイギリス植民地とは異なり、スペイン領アメリカで少数の特権階級に与えられたのは、先住民を搾取する権利だった。


重要な点は、スペイン国王がすべての土地を所有していたところにある。


北米の植民地議会では当初から当たり前だった民主的な意思決定の経験を、南米は事実上まったく持ち合わせていなかった。


コンキスタドルは植民地の有閑階級になり、大半の人には、わずかな土地しか与えられなかった。スペイン人移民のなかでも信託請負者(エンコメンデロ)は少数派で、ペルーのスペイン系人口のおそらく五パーセントほどだった。


ペルーでは、一九五八年の時点でも、土地所有者の二パーセントが、耕作可能な土地全体の六九パーセントを所有していた。


南米では、当初は本国の国王が、後の時代になっても一部の金持ちが土地のほとんどを所有する社会...

要するに、中下層階級は貧しいまま、権利(所有権や参政権)がほとんど無いままに推移したんですな。

それで勤労意欲が低い人口の比率が大きく、発展しなかった...

こうしてみると、”格差社会”が問題というよりは、中下層階級の財産の大きさが問題点という気がしました。

そうすると、日本の終戦直後の農地改革は意味あるものだったと思いますし、
今の時代であれば、世帯別貯金額のデータ調査結果において、平均値よりも中央値が下がり続けているという事実が、消費が増加して行かずにデフレになる主な原因だとも言えますね...

”分厚い中産階級”が20世紀後半の日本の経済発展の成功要因のひとつだったという説は、あながち間違いではないように思いました...

最後にもうひとつ...

我々投資家として考えなければならないこと、それは、富の偏在がはなはだしい国や地域を投資対象にすることの是非です...

”全世界型の株式のインデックス・ファンド”なんて、中南米やアジア,アフリカの国でそういった「富の偏在する国」を含んでいるわけですが、それで果たしていいのかどうか...

よく考慮する必要がありそうです...







posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

にほんブログ村