2016年06月20日

『マネーの進化史』を読んで...(後編)

昨日の記事からの続きです...

今日は、『マネーの進化史』の中で、株式投資に参考になりそうなところを見ていきたいと思います...

以下、引用です...

長期的に見て、どの国の株式市場も、アメリカを凌駕してはいない。


一〇カ国の市場が、長期的な実質利益ではマイナスに陥っているが、ワーストの例はベネズエラ、ペルー、コロンビア、そして最下位はアルゼンチン(マイナス五・三六パーセント)だ。「株式の長期投資」は、世界的に広くお勧めできる特効薬だとはとても言えない。


南米は株式投資に有効ではなさそうというのが、以前紹介した『文明〜』の内容と同じく著者の主張、というより歴史的データのようです。

要するに、世界全体にまんべんなく投資しても予想される結果には疑問が残るということで、投資先の国は厳選した方が良さそうです。

ただし南米の中でもチリは例外で、我々日本人がスーパーでよく見かけるチリ産のワインや鮭はチリが社会改革に成功したからで、その経緯が記されています。

ピニェーラは労働大臣(のちに鉱業大臣)として、チリにおける革新的な新しい年金制度を創設し、あらゆる労働者に対して、国民年金制度から脱退する機会を与えた。勤め人は給与税を払う代わりに、同等の額(給料の一〇パーセント)をそれぞれの個人退職金口座に振り込み、口座は年金基金管理機関(AFP)と呼ばれる自由競争に基づく民間会社が管理した。


個人退職金口座にもたらされる年収益率は一〇パーセントを超え、チリの株式市場の右肩上がりの業績―一九八七年から一八パーセントも上昇―を反映している。


国民の貧困率は、ほかの中南米諸国が四〇パーセントであるのに比べ、チリはわずか一五パーセントへと劇的に減少した。現在のサンティアゴは、アンデス山脈に沿った輝ける都会で、南米で最も繁栄して魅力的な首都の一つになっている。


チリは、日本の確定拠出年金にも似た制度を導入(ただし国民年金は廃止?)したおかげで、労働意欲が上昇し、株価も上がり、首都も繁栄...

わが国もこうありたいですな...


さてアメリカの状況ですが、まず、破産に関しての生々しい記述がありました...

全米で毎年、およぼ一〇〇万件から二〇〇万件の倒産がある。そのほとんどが、個人の借金が返済不能になり、いたずらに奮闘するよりも破産ないし倒産を選ぶ。その件数が、テネシー州では異常に多い。


一八九八年以来、アメリカ人ならだれでも、連邦倒産法・第七章(清算)および第一三章(定期収入のある個人の債務整理)に申告できる。貧富の差に関係なく、アメリカ人は破産を「生存し、自由を満喫でき、幸福を追求する権利」とほぼ同等な、「不変の権利」だと心得ている。その根底にある理念は、法によって企業家精神を奨励しようという姿勢だ。


アメリカでは、借金をチャラにして人生をやり直すのが意外と簡単にできるようですね。

その代表がテネシー州の制度らしくて、メンフィスという町の様子が描かれています...

ある店では車を購入するためのローンを宣伝しているし、二番抵当を専門にする会社もある。小切手を現金化できる店もあり、給与の前借りもできる(ただし、利率は二〇〇パーセント)。いうまでもなく、デパートほど大きい質屋もある。具合のいいことに、すでに家具が質で流れてしまった人のためにはレンタルセンターがあって、テレビなどを安く貸してくれる。隣には献血センターがあって、献血者には五五ドルが支払われる。現在のメンフィスでは、「血抜き」に新たな意味を与えていて、肉一ポンドを切り取られるほどの苦痛はないかもしれないが、不気味なほど似ている。


無一文者のための質屋に給料の前借り屋、それから、家具さえ売っぱらった人のためのレンタル家具屋さんに、献血でカネを手に入れられる場所...

テネシー州にはアメリカ各地から破産者が押し寄せるみたいで、様子が目に浮かぶようです...

借金を背負ってもくよくよしたり、日本のように自殺を考えたりせずに、明るく再出発を選ぶアメリカ人たち...

国民性の違いという感じでしょうか...

昨日の記事に書いたイギリス式のシステムにしても、このアメリカの個人の破産のシステムにしても、”健全な借金”であれば何の問題もないどころか、将来の発展のためには必要不可欠の仕組みだという文化があるみたいです...

経済発展を成し遂げるために、信用や負債は、いわば建築に不可欠なレンガのような必須素材だ。


金属がカネなのではない。信用を刻印されたものがカネなのだ。


というわけです...

これがアングロサクソン型資本主義というものみたいです...

さて、長くなってきたのでここらで締めたいと思います。

株式相場で勝つコツについて、ヒントになる箇所の引用です...

もしダウ平均株価の月足を表にしたら、平均値の付近に多くが集まるのではなく、最大値や最小値の両端に多くの上下変動がみられるだろう。この現象を、統計学者たちは「ファットテール」と呼ぶ。


かつてジョン・メイナード・ケインズが指摘したように、危機になると「市場は、支払い能力がついていけないほど長い間、非合理的に動くこともある」。


起きるはずのないことが、起きてしまった。突然、ロングタームが関与するその他の市場がすべて同調した動きを見せ、分散投資による保護手段の意味がなくなった。専門用語で言えば、相関が一に達した。


市場はときどき特異点を刻むもの、ということです。
まさに、リーマンショックやロングターム・キャピタル・マネジメントの破綻がそれを示しています...

市場を中長期で平均化して考えることは、危険にも危険...

分散投資だって絶対ではないし、昨日の記事に書いたように、第一次世界大戦であっという間にほとんど全ての投資のポジションがパーになるという事態もありえますから...

そして...

ソロスが成功した最大の根源は、勝者を言い当てたというより、敗者を特定することによってもたらされた。


”勝つコツ”は、敗者を当てることだというわけです...

考えてみると、ナルホド!です...

勝ち組を当てるのは難しいけれど、負け組を当てるのはそんなに難しくない...

あらためて気づけましたね...







posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☔| Comment(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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