2017年11月04日

今の世界金融市場の原点は海賊スピリットか?!(『世界史をつくった海賊』を読んで)

『世界史をつくった海賊』という本を読みました...

世界史をつくった海賊 (ちくま新書) -
世界史をつくった海賊 (ちくま新書) -

著者は上智大学出身の政治学者で、現在は独協大学教授の竹田いさみさんという方。

自宅には海賊をテーマにした人気マンガ『ONE PICE』を全巻そろえているとか...

以下、”あとがき”からの引用です...

我が家を振り返っても、尾田栄一郎『ONE PICE(ワンピース)』(集英社)の全巻が鎮座しており、海賊冒険ロマンが絶大な人気を博していることに気付く。


こんな海賊に強い興味をお持ちの学者さんが、普段の専門を離れて、主に16世紀の海賊について調べて書いたというのがこの著作です。

この本が言わんとしていることは、大英帝国の礎(いしづえ)を築いたのは国をあげた海賊活動だったということ。

このことを、さまざまな歴史上の諸事実からあぶり出し、今でもその発想をイギリスやロンドンの金融街ザ・シティは引きずっているんじゃないか?、と指摘しています。

まずは16世紀のイギリスを取り巻く国際情勢を中心に見ていきましょう...

以下、引用です。

当時、イギリスの人口は四〇〇万〜四五〇万人(ロンドンの人口は約一〇万人)であるのに対して、ポルトガルを併合したときのスペイン人口は一〇〇〇万人、フランスは一六〇〇万人。スペインとフランスを相手に、イギリスが戦争を強いられれば、イギリスに勝ち目がないのは誰の目にも明らかであった。


大国スペインやポルトガルとの競争に立ち向かい、戦争に勝利できる近道はコソ泥ではなく、大泥棒になること―これこそがエリザベス女王時代の国家戦略だった。


外貨を稼げるイギリスの主な輸出品といえば羊毛や毛織物に限られ、イギリスの沿岸で豊富に獲れる魚を輸出しても、大した利益にはならなかった。


手っ取り早く資金を調達して、富国政策を推進する道を探しあぐねた末に到達した結論が、国を挙げて海賊行為に勇往邁進することであり、毛織物に依存しない海外貿易を切り開くことであった。


“教科書にはない”やり方で、豊かになろうとした国があった。一六世紀から一七世紀のイギリスである。イギリスは、海賊行為という手法で豊かさを追求し、二〇〇年以上にわたる歳月をかけて大英帝国(British Empire)を築いた。たしかに産業革命によって大英帝国は確立されたが、その元手になる資金の一部は紛れもなく海賊がもたらした略奪品、つまり“海賊マネー”であった。


後世イギリスが貿易立国になる経済的基盤は、ドレークに代表される海賊によって形成された。海賊たちの暗躍がなければ、イギリスの王室財政、ひいては国家財政さえ破綻していたことであろう。


ヨーロッパ大陸の国々が貿易に主眼をおいたのに対して、イギリス人は海賊行為においたことが特筆すべき点である。一六世紀イギリスの経済成長の原動力は、海賊行為が主エンジンであるとすると、貿易はあくまで補助エンジンに過ぎない。


イギリスが貿易立国として世界経済に君臨するのは一八〜一九世紀であり、そこに至る二〇〇年間は、“海賊マネー”に依存せざるをえなかった。


女王が海賊行為に関与する際には、海賊船団の指揮官に口頭で申し伝えるか、女王側近のウォールシンガム秘書長官(国務卿)を通じて伝達するなど、女王関与の痕跡が残らないように細心の注意が払われていた。


エリザベス女王が関与する文書は、なるべく残さないという原則があるにもかかわらず、シンジケートへの出資リストが奇跡的に、ロンドンの大英博物館資料室で一九二九年に発見された。


女王はドレークらの海賊たちを大量に動員し、活用した。そして海賊を国家の英雄に仕立て上げることで人心を掌握し、国家運営の両輪、つまり資金調達と戦争に勝利するという目的達成に大いなるはずみをつけた。


女王は連合艦隊の総司令官に、王室海軍のチャールズ・ハワード海軍卿を任命し、副司令官クラスに海賊のドレーク、ホーキンズ、マーティン・フロピシャーらを据えた。


こんなふうにエリザベス女王は、海賊を裏で動かして資金源にすると同時に、国家の正規の海軍に海賊を組み込み、かの有名なスペインの無敵艦隊にも勝利します。

その証拠も、一部は後世に見つかっているわけです...

また、海賊は奴隷貿易にも手を染めていきます。

奴隷貿易はポルトガルの専売特許であったため、カリブ海のスペイン植民地といえども、ポルトガルの言い値で黒人奴隷を購入しなければならなかった。安値で大量の黒人奴隷を調達したいというのが、スペイン植民地の本音だ。ここに目を付けたのがエリザベス女王と海賊である。


こうして非合法かつ暴力的に富をかき集め、この資金がひいては産業革命を起こした資本にもなっていったようです。

イギリスに産業革命をもたらしたジェームズ・ワットによる蒸気機関の発明(一七七五年)も、奴隷貿易と切り離して考えることができないという説がある。カリブ海での奴隷貿易や砂糖生産を通じて、多額の資金がイギリス本土にもたらされ、それらの資金が金融機関に蓄積された。この巨額の資金が、研究開発資金としてジェームズ・ワットの手に渡り、蒸気機関の発明に繋がったというのだ。


今ならマネーロンダリングで摘発されそう。

教科書には出てこない黒歴史、って感じですね。


長くなったので明日に続きます...







posted by スイス鉄道のように at 08:00| 東京 ☀| Comment(0) | 分析・考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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