2018年11月28日

野上忠興著『安倍晋三 沈黙の仮面』を読んで(前編)

野上忠興著『安倍晋三 沈黙の仮面』を読みました。

著者は安倍晋三首相の父である故・安倍晋太郎氏の番記者で、その後安倍晋三氏の番記者をも務めた方です(2000年に退職されています)。

安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密
安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密

この本は安倍晋三氏の生い立ちから始まり、この本が出た時点まで安倍氏の素顔に迫った珠玉の一冊だと思います。

かなり踏み込んだことまで書いてあり、しかも、著者が直接聞いた話と間接的に聞いた情報とをきちんと分けて書かれています。

こんな風に...

筆者は政治部記者時代、安倍の父・晋太郎の番記者を長く務めた。安倍の評伝を書くにあたっては安倍本人をはじめ岸・安倍両家の親族や関係者、安倍の子供時代の友人、恩師、会社員時代の同僚や上司、そして古参秘書や後援者らも含め重層的に取材、山口県油谷町(現・長門市)に残る晋太郎の実家や安倍が幼少期、夏休みに預けられた同市北側の日本海に浮かぶ青海島の知り合い宅まで足を延ばした。


我が子のように安倍兄弟を育てた逸話が「頭の引き出しに枚挙にいとまがないほど、ぎっしり詰まっている」と語ってくれたウメへの聞き取りメモを交えて話を進めたい。


筆者は10人近い学友に取材したが、約半数は「あいつは政治家になる気はなかったのではないか」という印象を述懐している。


晋太郎は筆者に「晋三は政治家に必要な情というものがない。あれでは、まだまだ駄目だなあ」と漏らしたことがあった。


安倍自身も筆者のインタビューで「父から『お前は人として、相手への思いやりが足りない』とよく怒られました」と明かしている。


本社勤務時代、安倍は大きな商談を任されるようになり、仕事が面白くなっていったようだ。元上司はこう話した。「彼は課長の私が『やめておけ』と言う案件を、あきらめないでこっそり商社と進めていた。『このヤロー』と思っていたら翌年に大きなビジネスになるケースが結構あった。リスクを取りながら、取引相手の事情を汲んでうまくやっていく才能があった」


安倍は筆者のインタビューに、こう述懐した。「親父に『(政治家は)大変だぞ』と言われたとき、これは後を継げということだと思った。私が生半可にせよ選挙を頑張れたのは、親父の最期の場面を見て、これは絶対に負けられないと思ったからだ。この親父の無念を……と。非常に私的なものだけれども、しかし、そういう情念が人を衝き動かすのだと思った」


「本当でしたら(北朝鮮から帰国後)小泉さんが会ってくださるのが筋だと思いました。でも安倍さんがすぐに朝来てくださった。あのときは本当に嬉しかった」と言いながら、早紀江さんは続けた。



さまざまな関係者からの聞き取り調査、そして自分自身が直接安倍氏本人から聞いたコメント、それら情報ソースを明確にしつつ、事実を踏まえて書かれています。ちなみに、ウメさんというのは安倍家の乳母ですし、早紀江さんというのは北朝鮮への拉致被害者の家族の方です。

全般的な傾向としては、よいしょ記事もなく、どちらかという辛口の内容が多い感じです。

しかし、安倍晋三氏の素顔は、意外と庶民的だし、サラリーマン時代の逸話も情に厚い人という印象を受けました。

マスコミや野党の批判を矢面に受けているどちらかというと悪いイメージを払拭してくれます。

再発見するエピソードもあれば、強硬さの一面をそのルーツより再確認することも多い...

”安倍理解”をするためには必須の一冊ですね。

明日はもっと詳細に踏み込んで内容を紹介したいと思います。






posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 気づき・ヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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