2019年10月21日

倉山満著『検証検察庁の近現代史』を読んで

倉山満著『検証検察庁の近現代史』を読みました。

このブログで何度も取り上げている憲政史家の倉山満氏の著作です。

検証 検察庁の近現代史 (光文社新書)
検証 検察庁の近現代史 (光文社新書)

内容は、明治維新にまでさかのぼって日本の検察の歴史を描いています。

感想をひとことでいうと、検察というものは政治とのからみが大きいということ。

発足時、薩長連合が仕切った明治新政府のなかにあって、傍流の肥前閥を中心に出来た時点からそういう傾向をはらんでいました。

新政府の中心は当初は大蔵省であり、業務の七割が集中していた。これはさすがに行きすぎであり、民部省、次いで内務省を設立して、税制と予算以外の業務を移管していくこととなる。かくして明治においては大蔵省と内務省が行政の中心となるが、両省は薩長の牙城である。
そこで、肥前出身者たちは別に居場所を見つけることとなる。それが司法省だった。


以後、薩長の政治家の汚職等を暴くという動機から変遷して、現在に至るまで、政治家との戦いに終始してきたという側面があります。

まずはこれがひとつ...

もうひとつは、司法との関係性が特殊であるということ。

有罪率99%以上とも言われる日本の検察ですが、裁判所との人事交流などもしばらく前までは盛んにやっており、それ以前に戦前は裁判所が司法省(現・法務省)のなかに置かれたという経緯もあって、裁判所が検察に忖度して有罪判決を出す確率が高いのだとか。

すなわち、欧米流の「疑わしきは罰せず」ではなく、日本では「疑わしきは有罪に」なんだとか(ただし、執行猶予を付して事実上の無罪にするケースが多い)。

また、本省である法務省よりも、検察のトップのほうが偉いみたいです。

検察庁法第一五条は検事総長、次長検事のほか、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の八つの高検の長である高検検事長について、内閣が任命し、天皇から認証を受ける官職(認証官)と定めている。法務事務次官が認証官ではないのと比べると、法務省における検察官の地位が高いことがわかる。なお、「東京〜高松」は、格の順である。


本省のトップである事務次官よりも格が上なんだな...

初めて知りました。目からウロコでした。

その他、検察と戦後政治の関係について、あのロッキード事件や金丸事件の裏側なども詳しく描いており、大変、参考になりました。

日本人にとって必読の書だと思います。







posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☁| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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