2019年11月30日

三橋貴明著『米中覇権戦争残酷な未来透視図』を読んで(前編)

三橋貴明氏の著作『米中覇権戦争残酷な未来透視図』を読みました。

三橋氏は、このブログの過去記事にも登場しております(11月11日記事)。

市井出身の評論家として、今回もまた、非常に納得性の高い情報を提供してくれていると思いました。

米中覇権戦争  残酷な未来透視図
米中覇権戦争 残酷な未来透視図

今著作はタイトルにあるような米中の攻防が中心ではなく、EU経済や日本経済の分析と考察もありますし、モンゴル帝国の政治と経済から世界史の流れをひもといたり、イングランド銀行の歴史、そして、日本の左翼勢力の動きも活写してくれています。

非常にためになることが多かったです。

例によって有用な箇所を引用したいと思います。


1.日本の教育政策について

56年に全学連の委員長に就任した香山は、日本共産党と対立し、島成郎とともに共産主義者同盟(ブント)を結成。ブントが主導する全学連が、その後の安保闘争で血みどろの道を歩んでいったことはご承知の通り。


香山ら、「グループ1984年」のメンバーたちは、「日本の自殺」に感銘を受けた土光敏夫の紹介で、大平内閣の各種政策研究会に参画していった。


経済界の代表的なグローバリスト土光敏夫が、学生時代に国家を否定し、世界革命を叫んでいた香山健一と結びつき、「小さな政府主義者」であった大平正芳の内閣以降、日本の政治に影響を与えるようになった。その後の我が国が突き進んだグローバリズム路線は、まさに大平、土光、香山が望んでいた政治そのものなのである。


香山は大平の死後、中曽根内閣期に設置された臨時教育審議会の委員となり、「暴れ馬」と評されるほどの影響力を発揮した。現在の「個性重視」「自己責任」「自由化」「競争原理」「私学重視」などの、グローバリズム的教育方針は、審議メモとして配布された香山私案によって登場したものである。


世界革命を目標とするマルクス〜トロツキーの流れを汲む国際共産主義者の香山氏が昭和末期から平成の日本の教育方針に多大な影響を与えていたという、驚きの情報でした。

また、一方の日本共産党を核とする昔ながらの左翼は、公共事業や国債発行に反対する影の勢力だそうです。


2.日本の左翼勢力と国債の関係

なぜ、ここまで国債発行を毛嫌いするのか。あるいは、東日本大震災が起きてすら、日銀に国債を引き受けさせ、復興資金を調達しなかったのはなぜか。正解は、恐らく、佐藤健志著『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』(2018年9月、KKベストセラーズ)」に書かれた通りだろう。同書から引用する。……(中略)……そうです。国債を発行できず、借金を禁じられた政府は、武力に訴える能力を大きく制限されるのです。したがって戦後日本型の平和主義は、政府が負債を抱えるのを禁じるべきだという結論にたどりつくはず。


再び、佐藤氏の著作から引用する。
たとえば日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は、財政法第四条が定められた理由について、こう説明しています。
この規定(注:国債発行の禁止)は、戦前、天皇制政府がおこなった無謀な侵略戦争が、膨大な戦時国債の発行があって初めて可能であったという反省にもとづいて、財政法制定に際して設けられたもので、憲法の前文および第九条の平和主義に照応するものです。
記事によれば、大蔵省(現・財務省)主計局法規課長として、この法律の直接的な起案者となった平井平治も、第四条の意義について、以下のように解説したとか。……(中略)……本条(財政法第四条)はまた、憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものとも言いうる。


まさに「目から鱗」ですよね...

左翼勢力の戦争をさせまいとする想いと、財務省の財政均衡主義(とくに大平元首相が発端)とが結びつき、国債発行へのブレーキが根強く存在するというのが日本の政治史の裏面なのだとか。

著者は保守系の論客ですが、データに裏付けられたその主張には納得性の高いものがあります。

そしてもちろん著者は、中国共産党政権の台頭に警鐘を鳴らし、日本の行く末にもアドバイスと激励を送っております。

その点についても書きますが、長くなったので続きは明日に。






posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☔| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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