2020年10月28日

三浦瑠麗著『「トランプ時代」の新世界秩序』を読んで

三浦瑠麗著『「トランプ時代」の新世界秩序』を読みました。

ほぼトランプ現アメリカ大統領就任時(2017年1月)に発行された新書です。

「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書) - 三浦 瑠麗, http://www.fastpic.jp/images.php?file=4999730399.jpg
「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書) - 三浦 瑠麗, http://www.fastpic.jp/images.php?file=4999730399.jpg

読んだ動機としては、まもなく次期のアメリカ大統領選挙が行われるということもあり、あらためてトランプ大統領誕生の経緯をおさらいしておこうと思ったためです。

三浦氏の思想・考え方には一部賛成できないところもあると思いましたが、氏が実際にアメリカに取材に行って足で取ってきた諸情報とそこからの考察は非常に参考になりました。

今のアメリカでは、民主党不信,リベラルメディア不信,およびそれらの勢力と結託しているとみられているウォールストリート不信が草の根では蔓延しているらしいという情報が貴重でした。

オバマ大統領は彼が黒人だから当選しただけであって、オバマの前任者であるブッシュは共和党、現任のトランプも共和党であり、有権者のうちアメリカ愛国者なら保守的なキリスト教的価値観を共有している共和党候補に票を投じるのが普通らしいとのこと。

目を見開かれました...

以下、参考になる箇所を例によって引用しておきます。

民主党には、「貧困ビジネス」と言われても仕方がないダークな部分が存在します。
「包括的な移民政策改革を実行する」と約束しながら、いつまでたっても解決できない。半ば邪推も含めて、「移民問題が存在し続けるほうが、その点に敏感なラティーノの支持を民主党につなぎとめられるから」という声さえ聞かれる始末です。


なぜ現状を変えることができないのかという私の問いに、ブロンクスのリーダーは言いました。
「ニューヨークの地方議員はどんな奴らだと思う? みんな民主党さ。ここはリベラルな州なんだから共和党なんか受かりっこない。民主党の政治家こそ、われわれを抑圧し、差別し、住環境を改善しないまま企業にわれわれを売り渡すんだ。


貧困層が家賃の高騰を阻止するためには、地方議員の手助けが必要です。しかし、ステファニーは、人々が頼るべき地方議員は裏で開発業者とつるんでいると訴えます。民主党の議員が当選している地域では、偉い人も民主党です。彼女は、むしろ民主党に恨みを抱えているのです。


私がアメリカで出会った黒人やラティーノの多くは、「ヒラリー氏は自分たちのために働いてくれている」という実感をもっていませんでした。「黒人やラティーノ、マイノリティの問題がアメリカで存在し続けたほうが、今後政治的活力として使える」と民主党陣営が腹の中で考えていることを、有権者は鋭く見抜いていたのではないでしょうか。


また、トランプ氏の移民排斥トーク、とくにメキシコ等中南米からの不法移民排斥トークについても、すでに根づいているラテン系の票を逃がすことはなかったと三浦氏は言います。

私が取材でフロリダ州を回った感覚から言うと、わりあい所得が高そうな身なりをしているフロリダ州のラティーノは、圧倒的に「トランプ支持」でした。……(中略)……彼らの中間層以上の層は、所得に基づいて税金を払う中間層として投票行動に及ぶのであって、必ずしもメキシコの不法移民に同情し、不法移民とアイデンティティを同じくしているわけではありません。


なお、トランプ氏の政策の核となっているのは平和と経済です。

三浦氏は、アメリカ経済を力強く甦らせるために平和を確保するだろうと2017年初の時点で予測しているわけですが、それがピタリと当たっています。

実際、就任後、トランプ氏は、今まで一度も戦争をしていないのです。

アメリカ外交の問題点に続いて提示されたトランプ氏の戦略は、子ブッシュ政権期の「テロとの戦い」を名目とした介入主義でもなく、クリントンおよびオバマ政権期の自由主義的な発想に基づく多国間協調路線でもなく、ストレートに「アメリカの力に基づく平和」(=パクス・アメリカーナ)の継続を目指すものでした。


なぜ平和が大事なのでしょうか。平和こそが経済の基盤だからです。経済活動は、治安が安定していて戦争がない状態でなければ成り立ちません。この点は、トランプ外交を理解する際のカギになるのではないでしょうか。価値を広めるための外交や軍事介入ではなく、功利主義的にビジネスを進めるための、戦争の不在という概念です。


アメリカの力を再確立するため、米軍の能力を再確立することが急務であるとトランプ氏は言います。米軍の優位性は、誰からも疑問視されてはならないというのです。……(中略)……戦争を目的とはせず、相手の陣営を滅ぼすことを目的ともしない。宇宙とサイバー戦争によって不戦勝を果たす。これがトランプ大統領が描く、新しいアメリカの像です。


日本のマスコミでもトランプ氏に対する偏向報道が散見されるなか、中立で公正といえる情報に接した気がしました。





posted by スイス鉄道のように at 06:00| 東京 ☀| Comment(0) | 気づき・ヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

にほんブログ村