2020年11月14日

藪中三十二著『トランプ時代の日米新ルール』を読んで

藪中三十二著『トランプ時代の日米新ルール』を読みました。

少し前の2017年初に出版された本でして、トランプ大統領が誕生した際に今後の情勢を分析した内容になっています。

このたび大統領交代の可能性が高いため、あらためてこの4年間の任期を振り返りつつ参考にしようと考えたものです。

トランプ時代の日米新ルール (PHP新書) - 薮中 三十二
トランプ時代の日米新ルール (PHP新書) - 薮中 三十二

著者は外務省出身で、外交問題中心に著述されています。

以下、日米関係に関して触れておられる箇所のなかの重要な部分の引用を挙げます。

アメリカでは、民主・共和の二大政党制が機能してきたが、日米同盟関係を重視するという基本政策については超党派の支持があり、過去七十年近く、民主党の大統領であれ、共和党の大統領であれ、日本との同盟関係にコミットしてきた。


アーミテージ氏は共和党系で、海軍出身の巨漢だが、日本からの来客があると自分でコーヒーを淹れる気配りのある人で、日本の政治家にもアーミテージ・ファンが多い。ナイ教授は民主党系であり、学者然としたクールな雰囲気を醸し出し、ソフト・パワーの重要性を指摘したことでも知られている。このように対照的な二人だが、両人ともに各々の政党に安全保障面で影響力を持つ専門家であり、アーミテージ・ナイ報告書は、いわば超党派での日本への提言であった。


トランプ政権が発足するまでは、このアーミテージ・ナイ報告書路線がアメリカ国内の対日政策の基本的な考え方であった。超党派の有識者による提言であり、マイケル・グリーン元NSC上級アジア部長などアジアに詳しいアメリカの安全保障問題の専門家一〇名がこの報告書に名を連ねており、オバマ政権やアメリカ議会の民主・共和両党にも相当の影響力を持ち、また、日本政界にも大きな影響力を振るってきていた。


トランプ大統領は自由、民主主義、人権といった従来からのアメリカ政府が標榜してきた基本的価値観を重視しておらず、貿易面で有利なディールができるかどうかが鍵であり、政治面ではテロなどに屈しない強い政権を尊ぶ傾向にある。このことは、ロシアが強権的にウクライナなどに政治介入していることを問題にせず、プーチン大統領との関係改善に強い意欲を示してきたこと、さらには、トルコのエルドアン大統領やエジプトのシーシ大統領といった強権的な政権運営をする政治家を評価していることなどからも明らかである。


相手が中国のような共産主義の国家であっても、利害が一致すれば良好な関係を築くことは十二分に考えられ、事実、北朝鮮問題での連携から中国との協力関係を極めて重視しており、習近平国家主席を「信頼できる人物だ」と高く評価していることも頭に置いておく必要がある。


民主党政権、共和党政権ともに、第二次世界大戦後、日米関係については基本、心配することはないということです。

トランプ大統領になり心配や懸念が生じましたが、結果的には無風状態に終わったと言ってもいいのでは?

安部首相とトランプ大統領の相性が良かったということもあるかもしれませんが、対中関係が大きいのでしょうね。米中戦争ということはないにせよ、主として経済問題で激烈な競争や摩擦が生じているのが現実であり、アメリカとしては中国に対する牽制の意味でも日本をアメリカ側につなぎとめておきたいという動機があるはずです。

バイデン氏も、尖閣諸島問題で日本寄りのコメントを先日発しました。

日米外交関係および日米経済協力関係についても、この先、変わらずということかと...

マーケットにも影響はないんじゃないですかね、バイデン政権になったとしても。


なお、日中関係については、この本の著者の藪中氏は次の点を指摘しております。

当の日本であまり関心が払われていないのは奇妙なことだが、世界的に見ても東シナ海ガス田共同開発合意は高く評価されており、その意義は、実質的に東シナ海の水域確定において、中間線が基本となることを意味するものである。


東シナ海で結ばれた”日中中間線”は、対外強硬姿勢を取る中国にしては宥和的なスタンスを意味するもので、言われてあらためて気づきました。

この線でなんとか平和的な共存関係を続けていけないものかと思いました。






posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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