2017年09月19日

オレのものはオレのものか?(所有権をめぐる比較文化論)

内容的には昨日の記事の続き的な感じです...


漫画・アニメ『ドラえもん』で、ジャイアンが言う有名なセリフがありますよね。

「のび太のものはオレのもの、オレのものはオレのもの」

誰が聞いても、これはあまりにも不公平だということは誰にでもわかる...

普通は「のび太のものはのび太のもの、オレのものはオレのもの」です。

いわゆる、どこの国でも認められている「所有権」というやつです。

でも、ちょっと考えてみてください...

「所有権」の根拠って何ですか?

まあ、古来からの”慣習”としかいえないですけど、学問的(哲学的,社会学的,歴史学的あるいは宗教学的)に突きつめれば、いろんな考え方ができる。

中学・高校の教科書で習う、”社会契約説”だと、人間は文明を始めた頃に互いに契約を(取り決めを)結び、お互いを侵害しないという平和協定を結んだのだ、ということになります。

その平和協定の結果、互いの所有物を侵害しないということになった、というわけです。

また、キリスト教思想だと、カトリック神学なら、”自然法”(=大自然のルール,掟)を根拠とします。(なお、自然と自然法は神が創造された、と考えます)

プロテスタントなら、”神”が所有権を人に直接与えた、とされます。

アメリカの独立宣言なんかにはそう書かれています...

いずれにしろ、欧米人の頭の奥底には、「のび太のものは神のもの、オレのものも神のもの」という考え方がある...

そして、現在の世界諸国の憲法や民法をはじめとする基本法規は、この欧米人の思想を起源としています。

なぜなら、欧米の植民地から独立した国々はもちろんのこと、欧米の植民地にならなかった日本などでも、欧米の法をベースに近代法を作ったからです。

明治維新後、日本はそれまでの法を捨て、フランスやドイツの法律をベースに民法や商法を制定しました。

戦後は、日本国憲法がアメリカ占領軍(GHQ)の草案から作られました。

法思想や法哲学という、法律を形づくる根底にある思想や哲学をテーマとする研究分野がありますが、そこで語られるのはキリスト教思想と古代ローマの万民法や市民法です。

古代ローマ帝国も、後半期はキリスト教を国教としましたし、前半期に流行ったギリシャ哲学は逆にキリスト教思想に影響を与えたとされている...

結局、現代の法律で定められている所有権を始めとする様々な権利義務は、古代ギリシャ・ローマの社会常識とキリスト教思想に行き着くようです。

何が言いたいのかというと、日本では、「オレのものはオレのもの」と考えて、そこで思考停止(というか、思考完了)となるのに対し、欧米社会では、「オレのものは今は一時的にオレのものだけど、究極的には神のもの」と考えて、社会への還元や貧困者への援助という論理へとつながってゆく。

すべての人がそうだというわけじゃないけど、まだまだマジメに(というか敬虔に)生きている人はいっぱいいる。

だから、死ぬまでにできるだけ稼ぐとともに、あわせてたくさん寄付や援助をしようと考える...

そうすることが天国へ行く道だと思考するからです。

旧約聖書の創造記にいう「あなたは塵から生まれ、塵にかえる...」,新約聖書のルカ福音書にいう「富は天に積みなさい」、ということですね。

死んだら塵に返るだけ、必要以上の富を蓄えても天国には持ってゆけない、死ぬまでのあいだにできる限り善行を積みなさい、という教えです。

東洋思想でいうなら、”功徳を積む”という意味に近いでしょうか...

日本でも、江戸時代に公共の便のために淀屋橋を作った豪商や、明治時代に中之島公会堂を作って寄付した富豪がいましたが、今はめったにいなくなりました。

昔と比べて、今の日本人は、富に執着するようになったのかな、と感じます。

マネー系のブログでも、節約や保守的思考な投資(インデックス積立)をテーマとするブログが多い(苦笑)...

大胆に投資を実行して、それで成功を披露するというブログは数少ない...

残念ながら...

そして、こういふうに、富への執着心が強いと、貯蓄率が高くなり、金回りも悪くなり、景気は上がっていかないのかなとも思います。

いったん握ったカネは離さない、という考え方になってしまいますからね...

アメリカ社会が日本よりも活気にあふれ、失敗に寛容で、巨額の寄付や善意の出資(エンジェル投資家など)が多いのは、日本と違って、「のび太のものは神のもの、オレのものも神のもの」という考え方をする人が多いから...

そう考えることによって、富への執着心が薄れ、善意の使い方をしがちになるから...

私はそのように思います...








posted by スイス鉄道のように at 08:00| 東京 ☀| Comment(0) | 分析・考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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