2019年01月16日

加治将一著『幕末維新の暗号』を読みました

加治将一さん著作の小説『幕末維新の暗号』を読みました。

幕末〜維新にかけての時代の裏を、史実をある程度ふまえて連想した架空の物語です。

幕末 維新の暗号(上) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)
幕末 維新の暗号(上) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)

幕末 維新の暗号(下) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)
幕末 維新の暗号(下) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)


幕末から明治維新にかけては多くの日本人が活躍しましたが、同時に多くの外国人たちも関与しました。

その中にフルベッキというオランダ生まれでアメリカを経由して日本に来た外国人がおりました。

彼は幕末に長崎において英語の学校を開き、佐賀藩の志士たちを中心にたくさんの教え子を持ちました。

そのときの集合写真が「フルベッキ群像写真」で、幕末〜維新にかけての有名人が全部おさまっているらしき謎の多い写真なんです。

Wikipediaにも載っております。
↓↓↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AD%E7%BE%A4%E5%83%8F%E5%86%99%E7%9C%9F

この写真をきっかけに、望月という歴史小説家が探偵役となって歴史の裏にある隠された史実を推理するという、一種の推理小説です。

とても楽しめました。

また、楽しめるだけでなく、意外な視点をも提供してくれました。

こんな感じです(引用します)。

情報は藩の命。それなくして藩は生き残れない。
どの大名もエージェントの補充は必要不可欠の急務である。その充実度が、藩の命運を右左する。
だからこそ、読み書きを教える藩校が、雨後の竹の子のように増えたのだ。
読み書き算盤、藩校は武士の教養度を高めるためではない。骨太で即戦力のあるスパイ養成学校だ。足軽を含め多くの下級武士を募ったのも、機会均等の待遇を与えたのでもない。斬り捨てられる下級武士が必要だったのだ。


フルベッキは適任だった。
オランダに生まれ育ち、アメリカで学んだフルベッキは国籍を有しない。
無国籍なのだ。よく言えば国際人、悪く言えば根無し草。母国がないから、特定国のために日本を生贄にするという危惧は薄く、明治新政府にとってはもっとも安全な外国人だと言っていい。
広く浅いフルベッキの知識は、国家建設という入り口では実に有益だった。
かくてフルベッキは政治、経済、外交はもちろんのこと、土木、教育にも無難に実力を発揮し、絶大なる功績を残したのである。


シュリーマンは発掘に先立つ六年前、驚くなかれ幕末の日本を訪れている。
一八六五年六月四日、横浜に上陸。約二十日間を横浜で過ごし、その後江戸を見聞し、七月四日に日本を離れている。
わずか一月だが、江戸の宿泊先は、麻布にあるアメリカ公使館になっていた善福寺だ。外出時には幕府の護衛がついた。
スムーズな段取りである。
このころ江戸に置かれていた外国公使館は唯一アメリカ合衆国だけで、欧米人の江戸見物には、アメリカ合衆国の紹介状が必要だ。


明治初期の英字新聞、ジャパン・クロニクル紙には、こう書かれている。
〈奇妙なことに、神戸ではプロテスタントの礼拝集会よりも早く、フリーメーソンのロッジができていて、多くのメンバーを集めて集会も開かれた〉
一見たわいない記事だが、長崎、横浜、神戸には古くから闇のロッジがあって、そこは欧米諜報部員、討幕派外国人のアジトになっていた、という風景がありありと浮かんでくる。


大久保の人物評は、いずれも口数が少なく威張らないというものである。
部下に対してもさん付けだったというし、決して、頭から「ノー」と言うことをせず、反対でも「もう一度お考えになった方がいい」という迂遠な表現を用いている。


各藩で教育がさかんだったのは、表向きは優秀な人材の育成と藩の上のほうが開明的だったというのが通説ですけど、そうでないんだ。密偵養成学校の意味も兼ねてたんだ...

フルベッキ氏はあまり一般的には有名ではないけれど、彼の働きには大きな影響力があったんだ...

幕府は当時新興国のアメリカ公使館だけを認め、他の列強(英仏などはもちろんつきあいの長いオランダさえも)を排除していたんだ...

あの超有名な発掘家であるシュリーマンが江戸見物に来ていたんだ...

フリーメーソンの支部が維新前からたくさん出来ていて活動し、外国人の拠点になっていたんだ...

大久保利通は尊大な印象があるけれど、実は、意外にも謙虚な人柄だったんだ...

こういう、今まで気づかなかった視点や知識を提供してくれました。

勉強にもなりました。

歴史好きの人にはおススメの一冊です。








posted by スイス鉄道のように at 10:00| 東京 ☀| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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