2020年08月17日

マイケル・ピルズリー著『China2049』を読んで

マイケル・ピルズリー著『China2049』を読みました。

著者はニクソン政権からオバマ政権まで米国政府機関につとめた人で、元は親中派で、現在は反中派になった方。

博士は、中国共産党政権の「100年戦略」について語っておられます。

China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」 - マイケル ピルズベリー, 野中 香方子, 森本 敏(解説)
China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」 - マイケル ピルズベリー, 野中 香方子, 森本 敏(解説)

なぜ「100年」かというと、中国共産党が中国本土を支配したのが1949年で、そこから起算して100年後の2049年に世界最強国になることを目指すことが戦略の中身だからです。

元は親中派で中国の文化や思想にもくわしく、反面、欧米の価値観にしたがって生きている人でもある教養人なので、バイアスのかからない、質の高い中国分析と考察が随所に見られもします。

最新の中国の政治状況を理解するのに必携の一冊という感じがしました。

以下は、冒頭にある元CIA長官のR・ジェームズ・ウールジーの本書推薦の言葉です。

本書はCIAのエクセプショナル・パフォーマンス賞を受賞した、マイケル・ピルズリーのCIAにおける経験に基づいて書かれた。
「パンダハガー(親中派)」のひとりだった著者が、中国の軍事戦略研究所の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの驚くべき記録である。


とにかく、ここで詳細に解説して終わらせてしまうのはもったいないくらい、すべての日本人に一読してもらいたい一冊となっております。

それくらい内容たっぷりですし、機密情報と言うべき情報が盛りだくさんに、これでもかこれでもかと出てきます。

それでも、いくつかに要点をしぼってお伝えするとこうなります。以下、引用です...

たいていの場合、中国に関する話題は、中国による世界征服や軍事的支配をセンセーショナルに警告するが、そのどちらも近い将来には起こりえない。


最も驚くべき事実は、国力の評価基準に占める軍事力の割合が、10パーセント以下だったことだ。世界第二の軍事大国だったソ連の崩壊後、中国は評価システムの重点を、経済、対外投資、技術革新、天然資源所有へ移行させた。


「鼎の軽重を問うな」という教えは、中国ではよく知られる。これはつまり、十分な力を備え、敵に対峙できるようになるまでは、自分が敵であることを悟られてはいけない、ということだ。国際レベルで言えば、力をつけつつある国は、覇権国にそれを悟られないようにしなければならない、ということになる。


2011年、アメリカはGDPの5パーセント近くを軍事費にあてたが、中国がつぎ込んだのはわずか2・5パーセントだった。奇妙にも、中国の戦略は、世界的な戦力投射能力の拡張をやめて、核弾頭のわずかな備蓄(おそらく300に満たない)を維持することだった。そのわけは、軍用機や戦艦の数でアメリカと戦うのではなく、少ない投資で最大規模の破壊力が得られる非対称システムに重点的に投資したからだった。


『超限戦』は、直接的な軍事行動をとらなくても、法の戦争(国際法、国際機関、国際法廷を利用してアメリカの活動や政治的選択の自由を制限すること)、経済戦争、生物・化学戦争、サイバー攻撃、テロリズムによって、アメリカのような強国を倒すことができる、と説いた。


中国政府は、ソ連がアメリカとの軍拡競争で疲弊し、経済的な理由で自滅したことを教訓とし、あからさまな軍事力ではなく、経済力、非対称軍事力、宣伝戦略、技術や知的財産の盗用によってアメリカに追いつき、追い抜くという戦略を取っているのだとか。

アフリカ諸国の囲い込みや、テロリストの支援、サダム・フセインの支援などといった過去の事実も語られておりました。

そんな中国は、リーマンショックを発端とした世界金融危機で欧米諸国が弱っていると判断し、以降、攻勢を強めることにしたのだとか。

最近の事件である尖閣への侵入や香港の支配に乗り出したのはそういう流れの一環にあるようです。

ぜひご一読をおススメ致します。





posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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