2020年09月14日

矢部宏治著『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』を読んで...

矢部宏治著『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』を読みました。

9月4日の記事で紹介した本と同じ著者の著作です。

観光ガイド風の体裁を装い、本の外見は明るめながら、その反面、内容はシビアでずっしりでした...

本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド - 矢部 宏治, 須田 慎太郎
本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド - 矢部 宏治, 須田 慎太郎

著者は、戦後の日米関係(特に日米軍事同盟)の裏側に関する調査分析をライフワークにしている方ですので、この本では米軍基地の現地取材を敢行しつつ、沖縄の方たちの基地への向き合い方や肉声が入っていて、非常に生々しいレポートになっております(以下、はじめにからの引用です)。

撮影を開始した初日から、ぼくら取材チームは不思議な体験をすることになります。出会う人、出会う人がみんな、ぼくらを助けてくれるのです。特別な人ではありません。道を聞いた道路工事のおじさん、茶店のばばあ、散歩中のおじい、買い物途中の親子、そしてもちろん基地の前でテントを張ってる反対運動の人たちなど、基地の近くで出会った人たち全員が、撮影のためのベストスポットを教えてくれたり、地図を書いてくれたり、歴史を語ってくれたり、追加取材をしたほうがいいスポットを教えてくれたのです。

そのうちに気づきました。これは基地の近くに住む人たちの暗黙の共同作業であり、ひとつの戦いの形なのだと。長年、米軍基地という大きな危険と隣り合わせで生きるなか、彼らは基地が見わたせるポイントを見つけては、またはつくっては、みんなで監視してきたのでしょう。もちろん家族や地域を守るためにです。


また、普天間基地の危険性、沖縄返還前には嘉手納や辺野古の弾薬庫に核兵器が配備されていたという生々しい事実、広大な大自然(=観光資源)が基地として押さえられている現実などなども語られています。

また、ときどき挟み込まれているコラムでは、戦後の日米交渉の裏面史が書かれていて(他の著作と重複する箇所もあるが)、非常に興味深い読み物にもなっております。

とはいえ、本の建て前上の観光ガイドとしての機能もじゅうぶんであり、ふんだんな写真や飲食店、日本人でも利用できる米軍のゴルフ場やカフェなどもていねいに説明されてもいます。

面白さ、知識と教養、ガイドブックの三拍子を兼ね備えた優れものです。

おススメでございます。






posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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