2020年09月23日

高橋洋一著『朝鮮半島終焉の舞台裏』を読んで...

高橋洋一著『朝鮮半島終焉の舞台裏』を読みました。

著者は東大を卒業し、大蔵省に入省。その後、アメリカのプリンストン大学に留学したり、内閣参事官を務めたり、第一次安倍内閣のブレーンとしても参画。広い知識と教養を持ち、加えて国際感覚にすぐれた方のようです。

朝鮮半島終焉の舞台裏 (扶桑社新書) - 橋 洋一
朝鮮半島終焉の舞台裏 (扶桑社新書) - 橋 洋一

この本が書かれたのは2017年と少し古く、その時点での朝鮮半島情勢、とくに北朝鮮をめぐる国際関係の分析が記されています。

それでも今まで知らなかった専門知識や国際政治の裏側を知ることができ、大変参考になりました。

たとえば2012〜2016年における中朝関係は悪化していたようです(以下、引用です)。

関係悪化を引き起こしたのは金委員長の側である。2012年に習主席が中国共産党総書記に就任した際、中国は北朝鮮に特使を派遣したが、金委員長はそれを追い返した。中国側が北朝鮮の核開発に反対していたからだ。さらに、習主席が国家主席に就任する直前の2013年2月には、核実験を行っている。


まだある。2015年に中国で開かれた抗日戦争70周年軍事パレードに金委員長は出席せず、2017年2月には中国の緩い保護下にあったとされる金委員長の異母兄、正男氏が、マレーシアの国際空港で殺害された。北朝鮮は否定しているが、金委員長の指示によるものとみられている。


2017年に入ると、5月にシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際首脳会議の直前に長距離ミサイルを発射し、中国が主催するBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議初日のタイミングで9月3日に核実験を行った。「一帯一路」は習近平主席の外交政策の目玉でもある。習近平主席の顔に泥を塗るような北朝鮮の振る舞いが続いている。


中朝の国営メディアの舌戦も激化している。
少しニュースを拾ってみると、2017年5月には、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が、「中国から連日のように不条理かつ無謀なコメントが聞こえており、こうしたことは状況の一段の悪化につながる」と批判、「北朝鮮は中国に対し友好関係を維持するよう懇願することはない」と啖呵を切っている。


一方の中国では、「北朝鮮放棄論」の世論がはばかりなく展開されている。
中国は、北朝鮮が2016年1月に4回目の核実験を行った時の国連制裁に拒否権を発動しなかったし、2017年9月の6回目の核実験後の制裁にも反対しなかった。その上、中国銀行など中国の主要銀行が、北朝鮮籍の個人、企業による口座開設、送金などの金融業務を停止する独自制裁にも踏み切った。


この他、日本における2015年の安保関連法制の改正の効果についても詳しく解説されていて、その方面での手引書にもなっています。

また、フィリピンがアメリカとの軍事同盟を切り、米軍基地を撤退させたがために、南沙諸島の攻防において不利な立場に陥った例を引き、アメリカとの同盟を維持し続けることの重要性についても念押しされておられます。

とはいうものの、日本によくいらっしゃるよく考えない親米一辺倒の論者というわけではなく、リアリストでもあります。

日米同盟の肝をひとことで示した以下のフレーズは”言い得て妙”だなとも思いました。

国の安全保障を考えるとき、もっとも粗暴な国と同盟関係を結ぶことで、戦争確率を減らすことができる。この点は、これまでの歴史データからも実証されている。


まさにその通り...

ドラえもん風に言うと、ジャイアンにべったりであればイジメられないというところでしょうか(笑)。

国際政治というのはそんなに難しいものではなく、子供の間の人間関係を勢力図に変換して認識し、そのあいだをうまく泳いでいくようなものかと私は最近思っております。





posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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