2019年05月19日

福永文夫著『大平正芳』を読んで...

福永文夫著『大平正芳』を読みました。

戦後昭和の政治家、大平正芳の生涯と政治家人生がくわしく,そしてよく描かれていました。

大平氏は、自民党の派閥である「宏池会」をかつて率いて総理大臣にまでなった大物政治家です。

今はポスト安倍の呼び声が高い岸田文雄氏が率いる派閥ですから、その政治姿勢は今でも参考になると思います。

大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書)
大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書)


例によって、引用を中心に感想を述べていきたいと思います。

大平は吉田―佐藤の系譜につながる、いわゆる「保守本流」の嫡子であった。


政治家大平の戦後における最初の歩みは、吉田の軽軍備経済主義を継承し、国民的基盤に根ざした保守本流路線として演出し定着させていく過程であったといえよう。かくして保守本流路線は、護憲と日米安保を共存させることで、一方で改憲再軍備を唱える自民党内「戦前派」を、他方で護憲日米安保反対を唱える野党を抑える必要から生まれた、きわめて巧妙な政策路線となった。池田政権による争点の転換は、政治におけるイデオロギー対立の比重を下げた。それは同時に、保守側からなされた「戦後」および「戦後民主主義」の受容であり、戦後保守の磁場を固める作業でもあった。


大平は総合安全保障構想のもと、日米の同盟関係を強化し、日本を「西側の一員」として定着させ、日米関係を多元化する国際社会のなかに位置づけ直した。他方、環太平洋連帯構想では、ともすれば西と東、あるいは北と南に裂かれる日本に、多様なアジア・太平洋地域の結び手としての役割を与えた。のちに司馬遼太郎は、「日本はアジアは一つか、脱アジアか、明治以来悩んできたが(中略)[環太平洋構想は、]その両方包み込んでいる」(『政治的遺産』)と感嘆の言葉を漏らした。


内政,外交ともに、戦後日本の、まさに”本流”といわれる路線を作り上げてきた政治家のひとりだったと言えます。

そんな大平氏は、香川県の中流の農家に生まれ、奨学金を得ながら東京高商(現.一橋大学)を出て大蔵省に入省し、実績をあげ、官僚から戦後政治家になった人です。

官僚出身で大蔵省出身ですが、東大法学部卒ではなく、役人時代は傍流だったようです。

そのため、官僚くさくない、一般庶民よりの目線で見た政治を実行できる稀有な政治家だったといえましょう。

特に私が興味を引いたのは、氏がクリスチャンであったこと、大学時代の卒論もトマス・アクィナスの思想にもとづく彼独特の思想に拠って書かれたらしいことです。

大平は、必修科目のほか経済哲学の杉村広蔵助教授、法律思想史の牧野英一教授、さらにシュンペーターの流れをくむ新進の学究中山伊知郎助教授らの講義を手当たり次第に受けたという。そのなかで思想史とりわけ経済の思想史への関心を深めていき、二年に進級すると、上田辰之助教授のゼミナールに参加した。
上田先生は、経済学者というよりも、むしろ社会学者であり、社会学者である前に実のところ言語学者であられた。したがって、先生のトマス・アクィナスの研究その他のお仕事も、その言語学的な素養を抜きにしては考えられないものであった。(『私の履歴書』)


卒業論文は「職分社会と同業組合」と題する、恩師上田辰之助の強い影響を受けたものだった。それはイギリスの経済史学者リチャード・トーニー(R.Tawney)が『獲得社会』(The Aquisitive Society, 1921. 戦後翻訳され『強欲な社会』)で分析した資本主義社会の弊害を、同じく師から学んだ中世のトマス・アクィナスの政治経済哲学、特に「協同体思想」によって克服する道を示そうとしたものである。大平は言う。
自由競争も階級闘争も、共に社会を混乱に陥れ、資本主義社会の頽廃現象は覆うべくもなく私共の眼前に露呈されている。(『資料編』)


このような思想にもとづき、その政治家としてのスタンスも、日本らしさを残しつつも欧米流の民主主義寄りのものだったようです。

それも、市場重視の小さな政府を目指すという、自由貿易と民間活力を活かそうとするスタンス...

田中角栄のばら撒き政治でも、福田赳夫のような経済への政治の積極的介入・関与でもない、国民の暮らしやすさ重視の政治...

氏が目指したのは、”人”の尊厳に立った人権政治だったようです。

大平はキリスト教を通じて西洋思想を、漢籍を通じて中国思想に近づき、二つの思想が交錯するなかに、自らの政治哲学と実践を見出した。


ライシャワーは「自民党の政治家の中には親米的な人は非常に多いけれども、大平さんがもっとも親米的だったんじゃないか」(『去華就實』)と、のちに述べている。


大平が市場経済を重視し、政府の介入を最小限にとどめようとしたのに対し、福田は政府の介入に比較的積極的であった。


大平は「戦後の総決算」を標榜し、経済成長政策が生み出した物質的な豊かさを追い求める政治から、自然と調和した精神的にゆとりのある生活が望まれているとし、成長第一主義を捨て、次の四つの政策を掲げた。すなわち、(1)政治不信の解消、(2)人間的連帯の回復、(3)自主平和外交の勢力的展開、(4)田園都市国家の建設である。


前尾、大平、宮沢の三人は語り口はさまざまであるが、保守主義の特性について以下の点を共有していた。第一に、保守主義は過去との連続を保ち伝統と秩序を尊重し、そのなかでできるだけ徐々に不安と混乱を少なくして創造と進歩をめざす立場である。第二に、秩序をともなった自由と政治的平等を尊重する保守主義は、当然議会主義、民主主義を擁護し、常識と体験の上に立った中庸の道を歩む。第三に、古いというイメージを持たれる保守主義であるが、あくまで筋を通して、行政と立法の限界を十分考えながら合理主義に徹する。


首相のリーダーシップが問われたとき、大平は首相にリーダーシップは不要で、必要なのはオーケストラのコンダクターの役割であり、ハーモニーの維持にあると説いた。


政治は、もともとデスティネーション[目的地]のない航海のようなものである。一日一日を何とか難破しないように安全に航海しなければならない。しかし乗船した人々は、明日の寄港地と最終目的地を知り、一刻も早くそこに到着することを望む。しかし、もともとデスティネーションはない。船客の願いは多彩であり、その欲求不満も限りはない。航海の責任をあずかる者の苦悩は深い。(中略)しかし、いかに悩みは深くとも、われわれは、航海を続けなければならない。しかも安全に続けなければならない。(「現代の病とは何か」一九七四年八月、『資料編』)


小さい政府を標榜し、市場経済を尊重し、イデオロギーや再軍備にこだわらずに利害調整の政治に徹する...

大蔵省出身だから財政にも明るく、外交畑を歩んだので外交にも明るい...

これらの意味で、その夭折は、惜しい人材を失くしたと言え、氏がもう少し長生きしていればその後の日本政治の迷走も抑えられていたかもしれないと思えました。










posted by スイス鉄道のように at 07:00| 東京 ☔| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月16日

小諸そばの季節のメニューはヘルシー

最近やや太り気味なので、昨日の夜はおそばにしました。

入ったお店はここ...

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四ツ谷駅前の『小諸そば』さんです。

前々からお店(他支店ですが)の前を通った際に、このポスターを見てそそられてたんです。

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私はおそば大好き人間のうえ、ごまも好きなので(ほうれん草のおひたしごま和え、なんて大好き)、これはたまらないです。

それにとてもヘルシーだし、お値段も信じられないくらい安い(税込み¥390円)。

これを見るとラーメンなんて食べる気がしないです。

18時頃に入店すると客の入りは3割ほどでまだ混んでいませんでした。

食券機で食券を買って注文口に出します。2分ほどで提供されました。

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テーブルの上にある壺にはネギが入っていて好きなだけ入れ放題...

これもグッジョブですね。

あっという間に完食しました。

ご馳走さまでした...








小諸そば 四ツ谷駅前店立ち食いそば / 四ツ谷駅麹町駅四谷三丁目駅

夜総合点★★★☆☆ 3.3










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2019年05月15日

本格的な雲吞麺が食べられるお店

昨日の夕食は、四ツ谷にある『徒歩徒歩亭』さんに行きました。

ここはややオシャレ目な中華料理店さんです。

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夜は17時半からの営業でして、17時半ちょうどくらいに入店しました。

他のお客さんは1人だけでした。

中華粥を目当てにして行ったのですが、メニューには「当分のあいだ中止にします」との文字が...

仕方なく他のメニューのなかで一番このお店らしいものをと思ったので、雲吞麺(税込み¥1,100円)にしました。

注文後4〜5分くらいでやって参りました。

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お肉がたっぷり入った雲吞が3,4つ入っていました。

他にチャーシュー2枚にメンマ5片に海苔にネギといったトッピングでしょうか。

麺は細麺で、スープは塩味(注文時に塩か醤油を選択する)でした。

全体的な感想としては上品なラーメンという感じ。

お店の中も清潔で、上品さもあり、よくある中華料理屋さんのような油っぽい壁とかはありません。

過ごしやすい雰囲気で、つい長居をしてしまいたくもなる印象でした。

雲吞は本格的でしゅうまいっぽい感じですかね。

やや高めなのがアレですけど、お味もなかなかですし、量も多いですし、損はないと思います。









徒歩徒歩亭中華粥 / 四谷三丁目駅四ツ谷駅曙橋駅

夜総合点★★★☆☆ 3.3








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